金糸雀の呟き

稀にしか現れないし呟かない

耳かき童貞を卒業した話

耳かきが好きだ。

 

と言うのも、今から一年前あたりに1万円のヘッドホンを手に入れ、また同時期にVtuberにハマり始めていた。

Vtuberは切り抜き動画を見るくらいだったが、大抵Youtubeでの投稿が多かったので自然と利用頻度が増していった。

そんな中、ふと目に入ったのが周防パトラの『ASMR』とある動画。名前だけは聞いたことがあったので興味本位で開いてみると、まるで実際に耳かきをされているようなリアリティのある音に加え、聞こえる声や吐息がまるで本人が間近にいるように感じられるほど繊細な音。吐息に関しては体温で温められた熱を感じられるレベル。良いヘッドホンを買っていたこともあり一発でハマった。

 

ASMRは耳かきに限らずスライムやらタオルやら耳なめやら、とにかく色々なものを聞いてきた。ベイブレードは知らん。

眠るときのお供に最適だし、落ち着いて作業したい時にも聞いている。ポケモンのレート対戦をするときも、緊張しやすいのでそれをほぐすために聞くこともある。

 

きっかけになったVtuber以上にのめり込んでしまったわけだが、ポケモンカードを買いに秋葉原に行った際、『耳かきリフレ』なる店を見つけてしまった。

 

リフレ:医学用語においてリフレクソロジーreflexology)のこと。リフレクソロジーは、反射療法はんしゃりょうほう)とも呼ばれている療法1つである。手のひら足の裏、耳などを刺激して行う療法であり、その方式はいくつかの種類がある。リフレクソロジーは体にある反射区ゾーン)を刺激する。反射区は体のさまざまな器官対応しているため、反射区刺激することでその器官活性化することが可能だと考えられている。リフレクソロジーにおいて刺激与え反射区は、手のひら足の裏多くあるとされるため、療法を受ける際に服を脱いだり着替えたりする必要がないのもメリット1つである。

(Weblio辞書から一部引用)

 

「リフレって、アレだよな・・・・・・叡智なヤツだよなぁ・・・・・・」

秋葉原に抱いているイメージが『メイドカフェとオタクの街』というものだったのでなるほど流石秋葉原、こういうのもあるんだなと勝手に感心していた。狭いビルに看板だけ置いてあることもアングラ感を醸しだし、いかにもという印象をもった。

えっちぃ店はまだだ・・・・・・まだ早い・・・・・・とその場はスルーしたもののしばらくはその店のことが頭から離れなかった。それまで風俗店はソープとピンサロしか知らなかったので、難易度というか、接触の割合が軽めな店があるという驚きもあったのかもしれない。ちなみにtんkはビンビンだった。

 

しばらくして、サークルの先輩がピンサロレポなるものをTwitterに投稿した。

男性後輩からは賛頌され、女性後輩からはブロックされる盛り上がりを見せた。

これも半分その影響を受けてやっている。それからはピンサロにしばしば興味を抱くことが増えてきた。えっちぃ店、いきてぇよ。

 

という訳で耳かきリフレに行ってきた。

 

 

 

―――都内某所

カランカラン

「いらっしゃいませ」

「ハイ」

「当店のご利用は初めてですか?」

「ハイ」

「当店は前払い制となっています。お時間はどれくらいになさいますか?」

「ハイ」

「確かに頂きました。では後ろの控え室でお待ちください」

「ハイ」

 

ガッチガチに緊張していた。受付の方が女性だったので尚のこと。男子校出身陰キャオタクにはいやーキツいっす。ちなみに浴衣だった。

 

店内は狭く、和風テイストの内装だった。照明は薄暗く、昼頃に行ったからか客も少ないこともあり落ち着いた店内BGMが際だって聞こえていた。

受付で対応した方がそのままサービスを提供してくれるそうで、誘導に従いパーテーションで作られた個室へと入る。

そこには縦長に大きめの焦げ茶のマットに、毛先が柔らかいタオルが敷いてあった。

壁際には背の低めなタンスの様なナニカに、暖色系の照明が置いてあり、薄暗い店内に柔らかく室内を照らすそれは、店内をより落ち着いた雰囲気にしていた。

案内の後一言置きどこかへ行った撫子(ここではサービス提供スタッフをそう呼ぶらしい)が少し香ばしめなお茶と手ぬぐいを持ってやってきた。

それを一口頂き、一息ついたところで待ち望んでいた耳かきの時間が始まった。

撫子が正座し太ももの上にタオルを敷き開口一番。

では、こちらに頭を乗せて横向きで寝転んでください

なるほど。

「対戦よろしくお願いします」

と返した。返してない。言ってないから。ほんとに。

実は店を決める際に「耳かき 秋葉原」で検索し、ちょっと色気のありそうな店を選びホームページを確認していた。そこには膝枕で耳かきを行う旨が記載されていてはいた。だが、実際にやるとなると緊張の糸が一気に張り詰めた。

おそるおそる言葉を選び

「・・・・・・失礼します」

とだけ返せた。今思うと童貞感丸出しのちんちん丸だが、他に言葉が出てこなかった。

撫子の身体の向きに対して直線に寝転び、ゆっくりと頭を撫子の太ももへ預けた。

二つの枕に生じた隙間に顔の少々が埋まるため、イケないことをしているのではないかという緊張と女性の太ももに挟まれている幸福感で脳内カオスになり、撫子が何を言っているのかイマイチ聞き取れなかった。ちなみに息子はバレないよう我慢してくれていた。

その後目元にタオルが被せられ耳かきが開始された。

初めはウェットティッシュで耳裏含め周辺をやさしく丁寧に拭かれ、その後綿棒で全体的に柔らかく掃除してくれた。

被せられたタオルにより目を閉じざるを得ず、そのおかげで感触に集中することができた。耳裏から始まりゆっくりと内側へ進み、耳たぶをやさしく揉まれ、耳輪や対耳輪の内側まで拭きこぼしがないよう注意深く行ってくれているのがよく分かった。

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綿棒では先ほど拭いたところを軽く撫でてから耳内部へ進み、そこからはよく覚えていない。

というのも、未だ解けない緊張で肩がこわばっているのと、今まで音でしか楽しめなかった耳かきが実感として味わえている気持ちよさで「感触はよく分からないがとても気持ち良い事だけは分かる」状況に陥っていた。

しばらく綿棒の気持ちよさを味わったところで撫子が竹の道具に切り替えた。

この辺りからようやく緊張が少しほぐれ、しっかりと感触を味わえるようになった。

綿棒に比べしっかりと耳内部の皮膚を掻いてくれるため、カリカリと小気味良い音と共に直接伝わる気持ちよさが際立っていた。

またしばらくすると、今度は金属製の道具に切り替えると言った。

皮膚に触れた途端伝わる冷たさは、棒の先が細くなっているのか点として伝わり、かつ竹より硬いため掻く感触が一層強く、その相乗効果で『掻く』という一点に関しては竹以上に気持ちよかった。

ここまでの間ずっと右頬が撫子の太ももで幸せを堪能していた。

 

その後反対向きになってくださいと言われ、反対の頬を太ももに預けると意識したところでようやく収まってきた鼓動が再加速した。

流石に慣れてきたのか今度の緊張は早めにほぐれてくれた。おかげで右耳と左頬の幸福サンドをしかと味わうことが出来た。最the高。

 

耳かきが一通り終わったところで案内されるまま身体を起こし肩のマッサージへ。これがまた的確に気持ちの良いところを押してくれるので普通にマッサージ店として楽しんでいる自分がいた。「歳の割に凝っていますね」と言われたのでちょっと悲しい気持ちになった。

 

最後にハンドマッサージを受けた。手のマッサージが案外気持ちよく、親指の根元を強めに指圧されたり、指の付け根から先まで包むように握りゆっくりと引き抜くマッサージがとても印象に残っている。特に引き抜くときの指使いがなぜか官能的に感じた。ちょっと見入ってしまった。なんか触手みたいでえっちかったのかもしれん。

 

そんなこんなで時間が終わり、しかし太ももの感触と耳かきの気持ちよさが既に恋しくなったので少しだけ延長してまた耳かきをして貰った。また両頬と両耳が幸せになった。うむ、満足じゃ。

 

帰りは撫子に店の外まで見送ってもらった。店がビルの階段途中にあるため、すぐ上にあるカドショ目的であろう親子にそれを見られたが、気にしないことで対策した。我は気分が良い。だから許そう。ヌハハハハ。

 

担当の撫子が落ち着いた口調だったのもあり全体的にテンポを崩さず楽しむことが出来たと思う。元気の良い娘だったら緊張しまくって変な雰囲気になっただろうし、そういう意味では運が良かった。

耳かきASMR好きな同志は1度行ってみることを勧める。

 

次はどこへいこうかしら・・・・・・